アメリカの子育て/養子縁組情報

アメリカで養子縁組について勉強中。学んだことをシェアしていきます。また、日米合わせて10年以上教育業界に関わってきた経験を元に、海外での子育て事情や子育て番組の情報をシェアしていきます。

現場で働く人たちへの資金不足

 

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先日、私の住んでいるニューヨークで、社会的地位のある方で、地域貢献や活性化を熱心にされている方と朝食をご一緒する機会がありました。

普段のお仕事とは別に、少年スポーツ団の監修をボランティアでされており、性別問わず、障がいのあるお子さん達も含めて、何百人といる子ども達と一緒にスポーツを楽しんでおられます。

 

彼は、ご自身のお子さんに加え、中国から来たダウン症をもつお子さんを二人養子縁組されています。私が養子縁組のフィールドで働きたい、という夢を知っている友人が繋げてくれました。どんな人とでも意外なところから繋がれる、これもアメリカの魅力の一つかもしれません。

現場への資金不足

彼はもともとフロリダに住んでおられ、その時にひとりめのお子さんを養子縁組されました。

養子縁組をいざしようとインターネットを検索し、検索トップに出てくるエージェントとほぼほぼコンタクトをとったようです。また、フロリダ州だけでなく、周囲の残り二つ、計三つの州をまたいでリサーチを行ったそうです。アメリカでは、州によって養子縁組に関する細かい条件などが異なる場合があります。

そこで気づいたのは、検索トップに出てくるエージェントは皆、弁護士やマーケティングに多くの費用を支払っているということです。養子縁組にはかなりの費用がかかります。ましてや海外からの国際養子縁組には、渡航費用やビザ関係の費用も加わり、さらにダウン症のお子さんを養子縁組するために必要な医療に関する手続きや検査などの費用がかかります。

かなりの費用を養親は支払うわけですが、実費以外のそのほとんどは弁護士費用として支払われている印象だったそうです。現場で働く人たちは、心を燃やして、一生懸命で、こんなに誰かのために働いているのに、たとえ福祉系の有名大学を出ていたとしても年収は約$35,000(日本円で約350〜370万円)。仕事の内容に釣り合っていないよ、とおっしゃっていました。

 

養子縁組のエージェントは、教会などによって運営されているものか、そのほとんどはNPO(非営利組織)として運営されています。そのため、活動資金は寄付などに頼っています。施設の規模はエージェントによってまちまちです。大きいところでは、施設内に生みの母親たちを集め、子どもを産むまでの生活面・精神面のケアをしながら、養親に引き渡すまでの面倒を見てくれるところもあります。

https://www.adoptionsbygladney.com/

 ※テキサスに本部のある養子縁組エージェント、Gladney(グラッドニー)。英語のサイトですが写真などが見られます。大規模な施設には妊娠した母親たちと医療関係者が常駐し施設内で赤ちゃんの引き渡しまで行われます。グラッドニーでは、この施設で産まれた以外の赤ちゃんも養子縁組のネットワークに入っており、国際養子縁組の手伝いもしています。

資金を得るのはなんのためか

お子さんの幸せを第一と捉える養子縁組にとって、お金の取り扱いは時に難しいこともあります。日本では、営利目的で斡旋を行ったとして業者が逮捕されたこともありました。

www.sankei.com

個人的に、専門的な知識をもち、適切な対応ができる専門家には相応の報酬が支払われるべきだと私は考えています。それが弁護士だけでなく、(アメリカの弁護士費用自体が高額ですが)社会福祉士や児童心理司など、養子縁組に関わり一生懸命働く人たちにふさわしい報酬が支払われてほしいと思っています。もちろん命をお金で取引するようなことがあってはならないし、お金をより持っている人がより有利になることは、養子縁組にはそぐわない流れだとは思いますが。。さらに、現状高額な養子縁組の費用をもっとあげることは養子縁組自体のハードルをあげることにも繋がります。お子さんひとりを育てられるのに十分な資金があれば良いはずが、それ以上、となってしまいますよね。

ただ、もし今より資金が集まることで、子どもたちにとってより助けになるプログラムやイベントを開催できたり、現場で働く人が増えることで、よりそれぞれのケースを余裕を持って十分に見ることができるようになれば、それは素晴らしいことだと思います。

こうした矛盾点を改善し、養子縁組を促進して家庭や安定した環境で育つ子どもたちを増やすために、どのようにマーケティングし、養親以外のところから資金を集めていくか、戦略が必要になってきます。これは今の日本にも必要なことで、ようやく養子縁組を認知し始めた社会が向き合っていく問題でもあります。

そのために、私はビジネスと福祉を一緒に勉強しようとしているのですが、、時間ばかりがすぎてもどかしい時もあるのが正直なところです。

早く現場に出たいなー!!