アメリカの大手団体が国際養子縁組から手を引くと発表
大手斡旋団体の決断
このニュースを、ずっと書かないと、と思っていたんです。(大元の記事は英語です。)
ニュースが出たのは今年、2020年1月。まだコロナの影響がほぼ中国国内のみで、この時は世界が今のように変わるなんて考えてもいませんでした。
養子大国のアメリカで、大手で、しかも教会系の団体が、国際養子縁組から手を引く、と発表しました。正確には、国際養子縁組のライセンスが切れる2021年に、それを延長することなく取り組みを終了する、というものです。
なぜ国際養子縁組をやめるのか
団体の副代表が記した理由は下記です。
・国際養子縁組への取り組みを終了することは、制度への批判や、養子縁組自体への働きかけをやめるという意味ではない。世界中のそれぞれの地域で、その地域内でのサポートを今後充実させられるよう動いてきた。地域に根付いたサポートをしていく、という気持ちの表れ。
・実際に、地域に根付いたサポートを強化することにより、2019年には、これまで以上の縁組を成立させることができた。
年々減少する国際養子縁組
実際に、過去20年間において、アメリカへの国際養子縁組件数は減少してきました。
2004年に約3万件だった件数が、2014年には、4000件を超える程度に留まっています。この背景には、ロシア、グアテマラ、エチオピアなど、それまで多くの子供達を養子に出してきた国々が、アメリカへの養子縁組を取りやめたことがあります。依然その数がトップである中国からの養子縁組も、2015年に中国が一人っ子政策をやめたことにより、数自体は減ってきています。また、各国において、自国内での子供の福祉に関するシステムの整備が進みつつあることもあります。
私も個人的に、子供のアイデンティティ形成を考えても、自分の生まれた文化の中で育てられるということはより自然で納得できる形だと思います。
また、停止を発表した団体の代表者は、こうも述べています。
・この団体を通じて国際養子縁組をする場合、だいたい$50,000(約540万円)かかります。この一回の縁組の金額で、私たちが持っているアフリカ関連のプログラムで、50人の孤児達に身近で温かい家庭を見つけてあげることができるのです。
ビザの手続きや両親の渡航費、また高額な弁護士費用がかかる国際養子縁組。その費用を別の形でより多くの子供達を手助けするために使う。その方が、道理にかなっているように思います。また、アメリカにおいて、国際養子縁組や里親制度に関わるソーシャルワーカー達は、最低でも大学院卒業の資格が必要にも関わらず、その給料は約300万円〜500万円となっています。(都市による)
ほぼ生活の全てをかけて、全力で仕事をするエージェントにも、ふさわしい金額が支払われて欲しいなと思います。子供達の命を預かる仕事のため、扱いが難しい部分ではあると思いますが。実際にアメリカ国内で国際養子縁組をした人たちに聞いても、ネットで調べて上位にくる団体は、弁護士費用を多く払っている団体で、情報に偏りがあるように感じたとのことでした。
これからどうなるのか
奇しくも新型コロナウイルスの影響により、ますます国同士でのやり取りが制限される状況になってきました。私のいるニューヨークは、自宅待機令が出てから約3週間。人々の生活は以前とは全く違うものになっています。この自宅待機令も4/29までの延長が発表されました。
ノンエッセンシャルワーカーは、自宅に待機し、不要不急の外出、人との集まりが禁止されています。違反した場合の罰金も、先日$500から$1,000に引き上げられました。
いつもより時間がある分、いろいろなことを勉強して、今後に備えることが出来そうです。
この騒動が全て終わったあと、世界はどうなっているんでしょうか。