【映画】インスタントファミリー
こんちは!
今日は、子供を持つつもりのなかった夫婦が、養子縁組を経ていきなりティーンを含む3人の親になるという映画『インスタント・ファミリー 〜本当の家族見つけました〜』についてご紹介します。
少々ネタバレかもしれないので、内容を先に映画で観たい方はぜひそうしてください!
感想としては、もう、めっちゃ泣けた・・・(語彙力)綺麗事だけじゃない、楽しいことだけじゃない。白黒つけられない気持ち、それぞれの葛藤。
美化されすぎず、正解を提示するわけでもない。
見終わった後は、ほんっとおおおおおに、観てよかった・・・と思ったのでした。
実話が元になったストーリー
主人公は、カリフォルニアに住む夫婦、ピートとエリー、そして3人の子供たちです。
それまでは金銭的な理由やキャリアを理由に子供を持つことを考えていませんでしたが、生活にも余裕が出てきた矢先、エリーの妹とのひょんな会話から、養子を迎えることを決意します。
家族の反対や様々なことで、やっぱりやめるべきか・・・と迷いながらも、里親クラスに参加し続ける二人。
里親クラスには、シングルマザーやゲイカップルもいて、養子を迎えたい理由もそれぞれです。
15歳のリジーとの出会い
ある日開催されたマッチングイベントで、ピートとエリーが出会ったのが、15歳のリジー。物怖じしない彼女に惹かれた二人は面会を希望しますが、そこで、リジーにはまだ幼い二人の弟妹がいることを知ります。
このイベントのシーンですが、養親候補たちがみんな幼い子供達に興味を示したり、ティーン達もそれを分かっていて、だから大人達には話しに行かない・・とリアルです。
エリーもセリフで「ティーンはああしてこうしてこんなこともしちゃうのよ!無理!」的なことを言って(それをリジーに聞かれちゃうわけですが)、ただでさえ難しい年頃のティーンエージャーです。アメリカにいると、さらに、ミドルスクールに行った後はもうみんな大人みたいな問題が(ドラック、性、傷害など)より身近にあるため、初めて養子を迎えようとするピートとエリーが少々抵抗があるのも分かります。
いや、本当に、アメリカの中高校生達って、日本と比べたら大人びているんです。
12歳とかでも、ひえ〜!って感じです、本当に。
いざ3人の子供を家に迎えて・・・
すったもんだの末に3人ともを受け入れよう!となるわけですが、始まった生活はまさにドタバタの連続。
ちなみにピートとエリーは白人で、子供達はヒスパニックです。なので子供達の肌の色が問題になるか?を気にしたり、「いい人ぶってる白人じゃないわよ!」とエリーがリジーにブチギレるシーンもあったりと、養子を迎えるにあたり、あっちもこっちもいろんな要素が絡み合っていることが分かります。
この映画の良いところは、養子縁組というナイーブな問題を描きながらも、コメディタッチで結構笑いながら観られるところです。大人ぶらず、(というかなろうとしてるけど、なれてない)ピートとエリーの二人が全力で子供3人とぶつかっていきます。
15歳のリジーは大人達がどう扱ってくるか分かっています。そして大人達をどう動かすかも。彼女は産みのお母さんのところに戻りたい気持ちがあるので、なかなか心を開きません。超反抗的です!
リジーのお母さんは薬物の使用により刑務所に入っている設定です。生活環境も悪く、3人は保護されることとなりました。その間、ずっと幼い弟妹を世話してきたリジーにとっては、新しい母親ぶった人なんていらないわけです。
弟のユアンは注意散漫で危なっかしく、また、ずっと相手を怖がって謝ってばかり。
一番下のリタは、毎回わがまま爆発、叫ぶ投げる知りうる限りの暴言をはく、などかなりエクストリームです。
このような試し行動も結構リアルに描かれています。
そして、夫婦がサポートグループで怒りを爆発させたり。本当に、綺麗事だけでは里親、養親をやっていけないんですね。
少しずつ心の距離は縮まっている・・・のか?
色々なハプニングを乗り越えながら、心が打ち解けた?!と思いきや遠ざかったり・・・
幼いユアンとリタは、だんだんと打ち解けてきます。リタがピートを「ダディー」と呼んだり、ユアンが寝ぼけてエリーを「ママ」と呼んだり。
もう二人ともガッツポーズです。
ただ、リジーだけは、最後まで二人を親とは呼んでいません。
エリーとピートの家族、親戚もみんな巻き込みながら、五ヶ月が過ぎようとしていました。
実母の出所
そんな中、産みのお母さんが出所し、子供達を引取る希望があることが分かりました。
急な知らせにエリーとピートは混乱します。そして、実母と子供達の定期的な面会が始まります。この時点で、下の二人はすでに、ピートとエリーから離れることに混乱しています。
「ママのところにいたい・・・」とエリーの後ろに隠れるリタに、「私たちのママはこっちだよ」と手を引くリジー。
そして、毎回面会を終えると、子供達は、ピートたちと暮らし始めた頃のように、叫んだり落ち込んだりと精神的にかなり不安定になってしまいます。それが落ち着いてきた頃、また面会があり、振り出しに戻る・・・ということが繰り返され、みんなのストレスはピークに。
リジーの事件
そんな中、リジーがテキストで性的な写真を誰かと送りあっているのをエリーが見つけて夫婦は激怒、学校に乗り込んで、その相手を見つけてパンチしてしまうという事件を起こします。
リジーはまだ15歳、でも相手はなんと掃除員の21歳の男でした。18歳以下のティーンを性的対象として行動を起こすと、問答無用で逮捕です。ですが、この掃除員を殴った挙句蹴りを入れてしまった二人も、警察に連行されることとなりました。
その間、下のユアンとリタは車で待ちぼうけ・・・
結局ピートのお母さんの助けで拘置所から出てきた二人ですが、これが後々の親権裁判にも響くことになってしまいます。
運命の裁判の日
子供達の産みのお母さん、子供達、そしてピートとエリー。
全員が出廷した裁判で、実母が数ヶ月間薬物を使用せずクリーンであること、子供達を受け入れる準備が経済的に、精神的にできているかが確認されます。
もちろん、ピートとエリーが警察に連行されたことも追求されました。そして、実母のところに戻りたいリジーが提出した、ピートたちの問題と思われる発言も引き出されてしまいます。
エリーは書き直した陳情書を提出しようとしますが、受け付けてもらえません。そして、判事にきっぱりと、「これはあなたの裁判ではありません」と言われてしまいます。
そうなんですよねー。あくまでも、家族の形を守ることが目的の養護システムです。
子供と実親が望んでいるなら、元に戻ることが、もしくは再スタートできるなら、それが最優先されます。あくまで、子供達にとって何がベストなのかを考え、それを実行するのが一番の目的です。
結局、その裁判の日が、ピート達夫婦と子供達で過ごす、最後の夜となりました。ユアンとリタはここにいたい、と言って泣き、エリーも子供達の支度をしながら涙を流します。
エンディング
出発の日。リジーは嬉しくてたまりません。
あまり浮かない顔の弟妹を励ましながら、実母の迎えを待っています。
到着した車。ですが、そこに実母の姿はありませんでした。
取り乱すリジーに、この件をずっと見守ってきたソーシャルワーカーの二人がこう伝えます。
「約束の時間になっても、彼女は来なかったの。だから家まで行ってみた。
彼女は、できないって。まだ準備ができていないのに、プレッシャーを感じてしまった。
それにね、見てすぐわかった、彼女はまた薬をやってる。」
15歳の女の子には残酷すぎる話です。
でも、これも絶対にどこかで起きている話。似たようなことは絶対どこでも起きてる。
ショックのあまり、走って逃げ出してしまったリジー。ピートとエリーは彼女を追いかけ、リジーが落ち着くまで離れたところで待っています。
リジーは、私だけ違う家に行く、たまに会いに来るし連絡するから、私はここにはいられない、ごめんなさい・・・と泣きます。実母を選んだことに罪悪感を感じるリジー。
そこでピートが、最後の最後で、ようやく毅然とした態度で、「僕たちはもう家族だ、プロムのドレスを買うのも僕たちだし、君の高校の卒業式に最前列で張り切って、恥ずかしい思いをさせるのは僕たちだし、大学の卒業式でも同じことをやるし、結婚式だって!」「大学に行けっていうわけじゃないけどね、でもね選択肢も増えるし、え、結婚式?何言ってんのピート!」・・・「ずーっとずっと遠い未来も、私たちはあなたのためにここにいるよ。」
リジーは笑って、ようやくハグをしてくれて、そしてみんなで同じ家に帰るのでした。
そして、最後に、裁判所での養子縁組が認められて、お話は終わりです。
"Now the state of California pronounces you, a family." っていう判事の言葉。。。結婚式で神父さんが言うのと同じで泣けた・・・
二人のソーシャルワーカー
この映画の中で私がずっと見ていたのは、二人のソーシャルワーカーです。
どんな時でも、とりみ乱すことなく、事実を伝え、養親や子供達と関わっていく二人。
実際の現場はまだ知りませんが、何百件といろんなケースを見ているであろうプロのソーシャルワーカーたち。何度かアメリカの現場で働く人たちとお話をさせていただいたことがありますが、本当に、「まじか・・・」というような案件もたくさんあるみたいです。
これからもっと勉強なわけですが、早く現場を見たいなあ、働きたいなあ、と思いました。