アメリカの子育て/養子縁組情報

アメリカで養子縁組について勉強中。学んだことをシェアしていきます。また、日米合わせて10年以上教育業界に関わってきた経験を元に、海外での子育て事情や子育て番組の情報をシェアしていきます。

カンファレンス2019 ③【養子縁組後の産みの家族との関係/同意書】

 

今回は、養子縁組をして実際にお子さんを迎えたご夫婦の講演会の内容をレポートします

 

こちらのご夫婦は、本当に子どもが欲しかったので養子縁組を選択されたそうです。それでも、一番最初は他の人(産みの親側の家族)を自分の家族の枠の中に入れるのが嫌で、また全く関係を持たない事が全員にとってベストだとも思っていたそうです。ですが、実際に養子縁組を経てお子さんを迎えてから今までで、その気持ちはすごく変わったようです。

子どもを持ちたいという気持ちは私たち大人のもので、養子縁組は子どものために行われる事を常に忘れないで、と仰っていました。

 

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2018, 2019年のカンファレンスの冊子。当日に会場でブースを出していたエージェンシーや、弁護士事務所などの記載があり、参加者全員に配布される。参加は有料で、一年間のAPCメンバーシップ込みで約$100。毎月の集会にも参加可能で、ネットワーキングしやすい環境が整っています。

コンタクトレベルの違い

まず、アメリカでは、エージェンシーまたは州によって、縁組後のコンタクトレベル(どの程度産みの親との間で連絡を取るか)が全く異なります。信頼出来るエージェンシーを選ぶのはもちろんのこと、弁護士もきちんと雇って同意を結ぶ事が望ましいです。(これは前回紹介した産みの親であるクラウディアさんも言っていました) そして、結ばれた同意をもとに信頼を築き、双方にとって最も適切と思える関係性を作っていく事になります。

 

このご夫婦は、一人の赤ちゃんを養子縁組する事が決まって、また三週間後に新しい赤ちゃんを紹介されることとなり、同い齢の赤ちゃん二人ともを引き取って育てておられます。

産みの親とのやり取りには、手紙とプリントアウトした写真を使っているそうです。どちらのお子さんの親とも写真をインターネットにあげないことを約束はしたそうですが、念のため全てをデータではなく現物で送っているそう。これはもちろん、思いもよらない形のトラブルや何かしらネガティブな事が起こる可能性を避けるためです。

 

これらの作業は、オープンアダプションが主流であるアメリカではほとんどの家族が行っていくものですが、子どもが大きくなるにつれて、それがただの義務であったり、"やらなければならない作業の一つ"にならないようにしていくべきだと仰っていました。この作業も、大切な産みの親とのコミュニケーションの一つだからです。

 

ここからは、このご夫婦と産みの親との間に起きた印象的な出来事を紹介します。

 養親と血縁家族エピソード

お誕生日のプレゼント

ご夫婦のお子さんは同い年でどちらも男の子。上記のようにお誕生日も近い二人です。ある時、4歳のお誕生日にと、片方の産みの親が自分の産んだ子にだけプレゼントを持ってきました。一人は大泣き、一人は微妙な顔で「ありがと」と言っただけ。二人の反応を見て、自分がしてしまった事を理解した産みのお母さんは、その時一緒だったお婆ちゃんも含め、次からどちらにもプレゼントを持ってきてくれるようになったそうです。

 

産みのお母さんのお葬式

ご夫婦の二人のお子さんが7歳の時、片方の産みのお母さんが亡くなりました。幸運なことにお葬式に家族で行く事が出来ましたが、親戚皆んなが養子縁組の事実を知っていた訳ではないため、どのように立ち振る舞うかなど考えていたそうです。お子さんにはhalf sister(お父さんだけ違う妹)が居てその子はもちろんお兄ちゃんの隣に座りたいのですが、あの人達は誰?ってことになる訳です。

そこで、産みのお母さんの母親であるお婆ちゃんが良い仕事をしてくれて、家族の一員としてお母さんを送り出す事が出来たのでした。

 

どちらのお子さんの産みの親側の家族とも、今も良い関係を築けているそうです。

どの程度まで関わっていくか、何がベストと感じられるかは、もちろん家族によって違います。今回こちらのご夫婦が、実際に養子縁組の際に使用した同意書のコピーをシェアしてくださったので、大体の内容を次回記事にまとめます。

 

45日リミット 

ニューヨーク州では、子どもが産まれてから養子に出すまでに45日間というリミットがあります。45日というのは比較的短い方で、縁組を望む養親側にとって優しい制度です。この45日が過ぎた後は正式に養親の保護下に子どもが入るため、産みの親が心変わりした場合は裁判を起こす形になります。

ほとんどのケースでは、産まれてからほどなくして赤ちゃんは養親のもとへ迎えられ、そのまま45日が過ぎるのを待つことになります。

 

 養子に迎える子どもの健康状態は?

☆お子さんを迎える時に心配なのがお子さんの健康状態。遺伝的な病気に関しては、産みの母親側の情報は得られる事が多いですが、父親側が子どもの妊娠に関わっていないことも多く、分からないことも多いようです。また、海外から子どもを迎える場合、その子どもがいた環境や施設によってワクチン接種を含む適切な処置が行われていなかったり、データが紛失または信頼出来ないことも多く、全てを少しずつ医師と確認していくことになります。また、ほとんどの新生児養子縁組において、産みの両親は若い事が多く、加齢に伴う病気などは分かっていないこともあります。

 

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございます^^