アメリカの子育て/養子縁組情報

アメリカで養子縁組について勉強中。学んだことをシェアしていきます。また、日米合わせて10年以上教育業界に関わってきた経験を元に、海外での子育て事情や子育て番組の情報をシェアしていきます。

家族のかたち【アメリカの養子縁組】

今回は、アメリカで見てきた様々な家族のかたちを紹介します。

 

多種多様な家族のかたち

移民大国アメリカには、たくさんのバックグランドを持った人たちが暮らしています。たくさんの文化や人種が入り乱れる国。田舎と都会ではずいぶん違いますが、特に都会では色んな家族のかたちに出会うことができます。

代理母出産や精子バンク、卵子提供などの生殖医療の幅が広いアメリカでは、日本よりもより多くの家族のかたちが見られることは必然かもしれません。

私が住むニューヨークには、里親もしくは養親のもとで育つ子ども達が約4万人いると言われています。日本で社会的保護が必要とされている子ども達は約4万5000人と言われているので、その規模の大きさが伺えます。

養子縁組が広く受け入れられている

アメリカでは、最初に”近代的な養子縁組法”が定められたのが1851年でした。19世紀もしくはそれより前の養子縁組は、主にシングルマザーたちとその子ども達が面していた社会的な絶対的苦境からの救済という意味で行われていました。もしくは、血縁家族や母親の病気、ほか何らかの家族の事情で子どもを手放すということもありました。1851年の法制定後は、今日までの普及までは長い道のりではあるものの、オープンアダプション(子どもと血縁家族の間で連絡を取り合うこと、それに同意する縁組)が主流となり、子ども達にとって最善の道としての養子縁組がより広まることとなりました。

多様な養子縁組

肌の色や障害は関係ない

アメリカのセレブリティが人種の異なる子どもを養子縁組するのを、日本でもニュースで見たことがある方は多いと思います。白人の両親がアフリカから肌の黒い子どもを養子縁組することが社会的なステータスなだけだと皮肉られていたこともあります。金銭的に成功した人が、チャリティ活動に多くの時間を費やすのが一般的なアメリカでは、養子縁組をそのうちの一つとして捉えていた人もいるかもしれませんね。ただ、そういった、社会的な評価を気にする親だけではないことは間違いありません。肌の色や子どもの障害に関わらず、子どもの写真を見た瞬間に、本当に「この子だ」と感じるそうです。

子どもを海外から迎える場合、障害の有無は選べる選択肢にないことも多々あります。子どもに障害があっても育てたい、という養親達も多いです。新生児で健康な子どもを望むことが多いと言われる日本とは少し違いますね。

HIVを持つ子どもを積極的に縁組したお家もあります。

LGBTQ+の養親による養子縁組

同性結婚が合法となっているアメリカでは、同じ性別の両親により養子縁組される子ども達も多くいます。学校側の受け入れ態勢もかなり整っています。幼稚園や学校では家族の写真を教室に飾ることも多いのですが、その中にお父さんが二人、お母さんが二人など、色んなかたちの家族を見ることができます。

また、TVドラマでも、両親がレズビアンで養子縁組された子ども、なども描かれます。生活の中で、すでに色んな家族がいることが普通のこととして見られるのです。同性愛のカップルが片方の卵子もしくは精子を使って血の繋がった子どもを持とうとする場合もあります。本当に多様です。

日本でも、レズビアンカップルが里親認定を受けたとニュースがありました。

news.yahoo.co.jp

社会的に受け入れられているといっても、反対運動する団体や当事者がいるのも事実です。家族のかたちに正解はないのかもしれません。でも、私個人としては、家庭環境で子どもが育つことはとても大切だと考えていますし、本当に子どもを育てたい人のもとで子ども達には育って欲しいと思っています。

 

irorio.jp

 

シングルでも子どもを養子縁組できる

シングルマザー、シングルファーザーでも子どもを養子縁組することは可能です。女の子を縁組する場合は、養親は女性となります。

実子がいても養子を取ることも

実子がいても、養子縁組をすることもよくあります。理由は様々だと思いますが、二人目以降は養子をとり、その際にもやはり養子の性別や国籍は特に限定しません。また、一人目を養子縁組した後に、実子ができて兄弟が増えることもあります。縁組も一回だけとは言わず、二人目、三人目と養子を増やしていく家族もいます。

 

増え続ける家族のかたち

生殖医療の発達、法律の整備、インターネットの普及など、より多くの観点から、たくさんの家族を持つことが可能な社会になっています。どのようなかたちでも、養子縁組される子ども、保護が必要とされる子どもたちにとって一番であると考えられる環境を作っていくことが大人達の大切な役割だと思います。将来を担う子ども達が、健やかで、夢をもち、生き生きと自分の人生を生きてくれること。そのために大切な自己肯定感は、幼いうちに育まれる愛着関係から生まれます。大切な子ども時代を、より豊かなものにしていくために、日本でも、たくさんの家族のかたちが受け入れられるといいなと願っています。